合理的な合気道は温かい

合気道はとても合理的な武道です。
力を使わないで相手を投げるためには、合理性を突き詰めなければ出来ない事なのだと思います。

例えば、相手との位置関係も重要なポイントンになるでしょうし、リズムということも大切です。
また、身体の仕組みを上手に利用することで、相手の反応をコントロールすることもできるようになります。

しかし最も合理的に相手を動かすために重要なものは心の仕組みを理解することだと思います。 

 

どのようなことでも、最初に変化させやすいのは見えるモノです。
子供が粘土で怪獣や動物、自動車や家などを作るように、具体的に形の変化を見て認識しやすいものが学びやすく、理解しやすいのです。
物理的な力を加えることで形が変わるのですから、分かりやすいですよね。

長い年月、見やすいモノや認識しやすい事に慣れ親しみ、そういうものに対するアプローチがベースになることで、無意識にどのようなものに対しても、同じような対応をしてしまうようになります。
押せば動く、引っ張れば切れる、裂けば破ける、突けば刺さる、などの物理的なアプローチです。

そんなアプローチがベースになることで、人に対してもつい同じ方法で挑んでしまいます。
つまり、力ずくで何とかしよう、何とか出来る、そう思ってしまうのです。 しかし人間は粘土とは違います。
粘土は押せば凹み、引っ張ればのびてちぎれますが、人は押せば押し返され、引っ張れば引き返されます。
そう、物理的な反応とは逆の反応が返ってくるのです。

重いものを動かそうとしたとき、強い力で押せば動く可能性は高くなります。
しかし相手が人であれば、強い力で押せば抵抗されてしまい、より動かしづらくなってしまいます。
人の反応が物理的な反応と逆の要素を生み出すのであれば、相手を優しく押すことで動かすことが出来るのではないでしょうか。 

実際に大きな力を加えることで変化を生み出すことを、長く学んできた私たちは、人に対しても大きな力を加えがちなのです。
言うことを聞かなければ力ずくで従わせ、望まない出来事に見舞われれば駄々をこねることで何とかなると思う・・・

最初は合理的な変化から学んでいたはずなのに、いつの間にか合理的な視点を欠いてしまっているのです。
「合理的」と言うと、すこし冷たい感じを受けるかも知れませんが、本当に合理性を突き詰めることで、そこには相手の心を動かす温かさが生まれるように私は思います。

合気道は合理的な武道です。
物理的にも身体的にも、そして心の領域においても。
相手が同じ人間であるなら、そこにある動きは心や意識によって表現されたものです。
つまり、相手を動かすために最も合理的な方法の中心にあるのが、「心を動かす方法」ではないでしょうか。

もちろん物理的な法則を利用することは大切なのですが、相手の心を導くには、物理と心理の両方が大切になるのです。
どうすれば相手の心が動くのか・・・
そのことを合気道の中心において稽古することで、より合理的で温かい合気道を学べると思います。

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